オリジナルで作る紙袋の種類を、用途・目的別に紹介。

オリジナルで作る紙袋には様々な種類があります。それは紙袋を使う用途・目的によって向き不向きがあり、数量や価格、製作者が優先する事項により変わります。
まずは紙袋3種の紹介です。大きく分けて3つあります。
小ロットから製作可能なオリジナル紙袋
中ロットから製作可能な「OFJ」紙袋
大ロットから製作可能な「フレキソ」紙袋
小ロットから製作可能なオリジナル紙袋

名前の通り、小ロット(500枚)から製作が可能な、オリジナル製作による紙袋です。完全オリジナルなので、材質、印刷、持ち手、サイズ、加工等、最も自由度の高い製作方法です。ただ、オリジナル紙袋の種類の中では、数量が少なければコストは比較的割高な方になります。また、小ロットからの作製が可能ということですが、この作り方で大量の紙袋を製作することも勿論可能です。特に海外(主に中国)での製作では、数量が多くなると一枚あたりの単価もかなり下がりますので、自由度が高い仕様の選択肢を活かしつつ低コストの紙袋を大量に製作する事も可能です。後に紹介する大量生産向け製作方法であるフレキソ紙袋と比較すると、一枚単価では及ばないながらも仕様の自由度は群を抜いています。
中ロットから製作可能な「OFJ」紙袋

中ロットと言ってもどれぐらいからなのかが想像つきにくいかもしれませんが、大体3,000〜5,000枚以上の紙袋を製作する際に選択肢に入ってくる製作方法です。上記の小ロットから製作可能なものの場合、紙袋の本体である紙に製袋機械にて折り加工を施して紙袋の形状にしますが、その後の持ち手の取り付けは人間の手による作業です。OFJタイプではその持ち手の取り付けも機械による自動となるので、コストを下げることができるというわけです。機械ですので取り付けることのできる持ち手の種類には制限がありますが、丸紐、紙単紙、PP紐、等の若干少ないながらもベーシックな持ち手の種類は取り揃えています。また、このOFJタイプの紙袋では持ち手に芯が入っており、持ち手を取り付けると紙袋に対して上にピンと立った状態になります。穴を開けて結び目で紐を固定することが多い小ロットタイプでは、紐系の持ち手には芯が入っていないのでそれと比べると特徴的なスタイルですが、利点も多く、結び目がない事で保管スペース(容積)をそれほど多く取らない、使用時(袋に物を入れる際)に同じく結び目がないので取り扱い易い、といったところがポイントです。穴開けタイプと比較し、スマートな印象と言えるでしょう。
大ロットから製作可能な「フレキソ」紙袋

最後に、大ロットとなると数量は7,000枚以上の紙袋ということになります。といっても先述のように、上記の小ロットタイプ、OFJタイプも共に大ロットで製作は可能なのですが、この「フレキソ」タイプの最大の特徴は、まずコストが断然安いということです。
一般に小ロットの紙袋で一枚単価が50〜60円ぐらいのところが、フレキソの場合は10円、もしくはそれ以下で作成が可能だったりします。OFJの場合は機械がその製作工程の多くを占めることは述べましたが、フレキソタイプの場合は「輪転機」を使うことで印刷の工程から、ロール状になった用紙から一気に印刷、製袋、持ち手取り付けまでを行います(OFJの印刷はロール紙ではなく、「枚葉機」と呼ばれ、紙を一枚一枚をオフセット印刷機で通していくタイプ)。この輪転期を使う方法は人間の手作業の工程が殆どなく、コスト削減に貢献しています。対して持ち手の選択できる種類はOFJと同じく数種類に留まります。また、他のタイプの紙袋では入れ口の部分は紙を折り返していたのに対し、フレキソタイプでは折り返しがなく、切りっぱなしとなっており、その断面はギザギザになっています。この断面は一般には「ギザカット」「リップルカット」等と呼ばれ、紙端で指を怪我しにくいようになっています。ただやはり、折り返しが無い分強度では不利と思われます。
印刷表現に関しては、「樹脂版」を使った印刷となるため、濃淡やグラデーション等、細かい表現が苦手です。その他の紙袋製作方法では主にオフセット印刷での精細な表現が可能なため、一歩譲ります。
紙袋の種類による用途の適性は?
以上で大体の紙袋の種類3つは説明しました。ここからは目的別に向き不向きの紙袋を紹介していきます。
持ち帰り用
やはり用途として一番多いのは、買い物をした後の「持ち帰り用」でしょう。なにかしら買い物をすると必ず持ち帰る袋が必要になります。ただ国内では2020年から「プラスチック製買物袋有料化制度」が施行されていますので、買い物をしてもエコバッグ等なにかしらの持ち帰り用ツールをユーザーが携帯している事が多いので、不要になってきている流れもあるでしょう。制度の実施後、スーパー、コンビニでのレジ袋の辞退率は倍になりました。そもそも持ち帰り用の袋で一番多いのは、紙袋ではなくこれらレジ袋かもしれません。レジ袋は弊社でも取り扱っておりますが、前述の「フレキソ紙袋」のコストレベルのさらに上をいく低コストで、依然としてプラスチック製品のコストパフォーマンスの高さは変わっていません。フレキソ紙袋のコストの実に半分以下になることが多いポリ袋群(レジ袋含む)では持ち帰り用のバッグとしては依然として真っ先に検討されるものです。ただここでは紙袋の紹介ということなので、ポリ袋に関しては別の機会に譲るとして、持ち帰り用の「紙袋」の解説をしたいと思います。
アパレルの持ち帰り用

持ち帰り用としてよく使われる、アパレル用の「ショッパー」とも呼ばれるバッグ。これが紙袋であるケースはかなり多いと言えるでしょう。前述の「レジ袋」でアパレルの持ち帰りをする事はほとんどありません。これはイメージを大事にする業界であることが最大の理由でしょう。ただ、レジ袋ではなく、プラ製品としては少し厚めの(80μmぐらい)ポリ袋(主に持ち手が楕円形穴の平袋)を持ち帰り用として使っているところは結構多いです。何しろそれでもかなり安いのです。
アパレル持ち帰り用として紙袋を使う場合は、前述の大きく分けた3種類、小ロット、中ロット、大ロット、全てにおいて適性があります。予算とイメージの折り合う所でこの3種から選んでしまっても良いと思います。高級でゴージャスな「イメージ」を優先する場合は大ロットのフレキソは候補から外れます。小ロットが持ち手や材質、印刷や加工の面で一番選択肢が多いでしょう。また、小ロットの潤沢な選択肢を活かしつつ、海外製造で数量を増やせばコストが下がりますので、凝った高級仕様+低コストの両立が可能です。反対にコストを優先させる場合は、フレキソ紙袋で大量に製作し、高級路線とは少し言えないまでもある程度選択肢のある持ち手や印刷でそこをカバーするのも良いでしょう。
アパレルに関しては、紙袋、ポリ袋以外にも不織布を使った手提げバッグも最近では見かけるようになりました。不織布製のバッグはコストとしては紙袋と比較すると、同程度〜やや高めなケースが多いかもしれませんが、紙袋より耐久性・リユース製が高く、プラ製品とはいえエコバッグとして使われたりするので環境に対しての負荷は考え方次第と言えます。基本的に縫製品となるので、紙袋と比較すると形状やサイズの制約が取り払われ、自由な形で製作できるのが利点です。この不織布製品についてはまた別の機会に紹介しようと思います。
雑貨(時計・宝飾)の持ち帰り用

時計・宝飾品の持ち帰りとなると、上記のアパレル持ち帰り用と方向性はほぼ同じですが、サイズレンジが小さくなります。また、ギフト用の割合が大きくなりそうです。ギフトラッピングは有料サービスとなる事が多いので、単価画比較的高の凝った仕様のバッグになる事が多いでしょう。ギフト感を出すためにマットPP加工やロゴのエンボス加工、箔押し加工等がよく施されます。また、持ち手には通常のアクリル丸紐以外にも少し高級感のあるパイレンロープやアクリル平紐、リボンが良く選ばれます。反対に、フレキソ紙袋の簡素な作りの紙袋は敬遠されそうです。
食料・食品の持ち帰り用

食品の持ち帰りにはポリ袋(レジ袋)が一般的ですが、勿論紙袋も多く使われています。持ち帰る製品の単価が比較的安い物では、包材にはあまりお金をかける事ができませんので、大量生産向けのフレキソ紙袋が適していますが、もう少し細かい所を考えてみましょう。
スイーツ・パンの持ち帰り用
これらの食材は、商品自体が高額になる事も多く、百貨店でのギフト用や高級食パン等、レジ袋で持ち帰るにはやや抵抗のあるものも多くあります。大量生産向けの紙袋に加え、かなり仕様の凝った高級商品用の紙袋も検討範囲に入るでしょう。とはいうものの、やはり小ロットでは包材の単価も上がってしまうので、例えば海外生産で高級仕様の紙袋を基本とし、加えて数量を大量生産することにより単価を下げる方法も有効です。フレキソ紙袋とは言わないまでも、かなり単価を下げる事ができ、それでいて高級感は損なわれないというバランスを実現できるでしょう。数量と仕様によってはOFJタイプも十分上記の条件を満たせます。
カフェ・レストランの持ち帰り用
このタイプの業種では、上記のように高級志向の商品の持ち帰りとまではいきませんが、持ち帰りの頻度は全体からすると比較的低く、持ち帰り商品の単価もそれほど高くなく、となってくると数量も増やせない、単価も上げられない、というジレンマに陥ります。小ロットで、しかも低価格でとなると、例えば仕様を未晒クラフト+持ち手紙単紙+PPフィルムなし+オフセット1色印刷で、数量は500枚、とすれば、1枚100+数十円ぐらいでオリジナル紙袋は製作できます(要詳細見積り)。または、既製品の紙袋はそれ以下の数量でもご発注いただけますので、オリジナルシールを作成し、既製品紙袋に貼り付けるという方法もあります。シールは汎用性がありますので、用途は紙袋に留まりません。
ワインボトルの持ち帰り用
ギフト用に使われる事が多いボトル用紙袋。通常の1本用に加え、2本用もあったりします。ボトルは割れ物なので、バッグの材質としては不織布のようなクッション製のあるものも選ばれる事が多いですが、ここでは紙袋についてお話しします。お酒のボトルの底はほとんどの場合正円形をしています。本来紙袋はその製法上、底が正方形のものの作成は苦手な形状です。これは折り加工の際に、製袋機の都合から底フラップに十分な長さが取れず、強度や折り加工に問題が発生する事が多いからです。この問題を解決するには、紙袋として製袋加工を行った後、改めて底を補強するシールを追加で貼ることにより強度を確保する事が必要です。また、底の正方形を少し変形し、若干長方形寄りにサイズ調整することもよく行われます。
紙袋の種類としては、小ロットから製作可能な紙袋でご発注をいただく事が多いです。というのも、OFJタイプ、フレキソタイプ共にボトル用の紙袋のサイズ・形状は苦手とするジャンルであるからです。仕様に凝った高級志向の仕様や、数量が大量になる場合は海外で製作することをお勧めしています。ギフト用ではなく、通常の持ち帰り用という事でしたら、残念ながら紙袋ではなくポリ袋(レジ袋)が実際のところ現実的な選択になるでしょう。その他不織布製のものも選択肢には入ってくると思いますので、優先事項や数量、仕様等様々な要因との兼ね合いで、ここは是非一度実際にご相談いただくことをお勧めします。
イベント用
企業展示会

展示会等のイベント用紙袋の場合、幾つか重要なポイントがあります。まずイベント用紙袋の目的としては、パンフレットや資料、チラシを配布し、それらをまとめて紙袋に入れて持ち帰ってもらいたいという事が優先されます。また、どちらかというとアパレル向けのオシャレなものよりは、少し真面目な作りの、たとえば持ち手はプラスチックで口部分を留めて封をできるようなタイプ(ハッピータック)が好まれる傾向があります。これはイベントの内容にもよります。また、展示会では企業のアピールをする事が目的ですから、例えば紙袋には企業ロゴを鮮やかな印刷で表現したい。そうなるとコート紙へフルカラー印刷、または特色で鮮やかで目立つような印刷を施したい。そうなるとフレキソ紙袋は候補からはやや外れ、小ロットから製作可能なタイプや、OFJタイプが向いていると言えます。イベントの種類は多岐に渡るとは思いますが、コート紙、真面目な持ち手(ハッピータック)、A4が入る、といったところが重要なポイントとなってくるでしょう。中には他社ブースのバッグの中に入れられないように、バッグのサイズをA4用よりひと回り大きくしてその他の資料を全て内包できるようなサイズにする方もいらっしゃいます。そうなれば自社のバッグが他の企業のバッグの中に入れられてしまう事もありません。
学校オープンキャンパス、式典(入学式・卒業式)

学校でのオープンキャンパス等のイベントでも基本前述の展示会と変わる事はなく、小ロット〜中ロット(OFJ)が向いています。ただ、学校名を鮮やかな印刷で目立つように、というポイントは展示会と比較してあまり重要視されないかもしれません。バッグを持っている人が歩く広告塔になるというような展示会の意味合いとは違い、イベントの参加者本人にアピールするような戦略が優先されそうです。最近はこういった学校イベントのバッグは紙袋というよりはリユース性の優先からか、不織布製のものの割合が増えてきましたが、依然として紙袋も人気があります。今後SDGsの浸透が進めばまた割合にも変化があるかもしれません。学校のイベントには生徒の募集以外にも卒業式や入学式等の式典での使用もありますが、こちらはどちらかというとイベント用というよりは、学校一般職員様の方でも使う、事務用、通常使用も兼ねている所が多いです。その場合、あまり目的を明確にしないような作りで、印刷も派手さを抑えて質素かつ簡素、シンプルで汎用性を重視した仕様にするケースが多いです。
企業・普段使い

そういう意味では一般企業向けのイベント用も兼ねた、営業にも使える汎用的・事務的な紙袋も同様に、フレキソ紙袋以外の仕様が全て当てはまります。外回りの際に資料をさっと入れて手軽に使える、真面目な作りとなると企業展示会のところでも紹介した、「コート紙、真面目な持ち手(ハッピータック)、A4が入る」が基本となりそうです。営業ツールとして客先に配布したり置いてきたりしても大丈夫な、キッチリしたイメージと、真面目でベーシックな作りがポイントです。
通販
最後に宅配用の紙袋の解説です。宅配紙袋の場合も上記の手提げ紙袋の場合と同様に、小ロット用、大ロット向けの製作方法があります。OFJタイプは持ち手を自動でつける製法なのでここでは考えません。多くはクラフト紙を使って作られる事が多い宅配紙袋ですが、送付にかかる運賃との兼ね合いもあり、多くはコストを最優先として作るケースが多いです。その場合、最も適している製造方法としてはフレキソ紙袋での大量ロット製造が筆頭になります。フレキソ紙袋で宅配紙袋を作る場合、最も有利な点はコストですが、手提げバッグの時と同様に全て機械を使った製造ということもあり、印刷から製袋、宅配袋の特徴である蓋(ベロ)部分に両面テープを取り付ける作業も機械で行うため、非常に効率的です。
対して小ロットでの製作となりますと、やはりネックは一枚あたりの単価が高くなってしまう事です。小ロット製作の特徴である、ある程度の仕様の自由度はありますが、宅配袋ではその辺りは特に重要視される項目ではないので、フレキソの製法と比べて有利な点といえば、オフセット印刷による精緻な表現、小ロットでも作成できる、コート紙やPPフィルムの材質も選択が可能、といったところでしょう。宅配袋ではPPフィルムによる防水性能が求められるケースも意外と多くあり、小ロットの製法での特徴となっています。